スリップとは
「スリップ(再飲酒)」という言葉はよく使いますが
どうやら医学的にも臨床的にも明確な定義はなく
飲んじゃったらスリップ、と私もザックリと使っていました。
では以下の①~③のうち「スリップ」はどれでしょうか?
①1週間断酒したけど飲んでしまった
1ヶ月くらい断酒すると飲んでしまう
②数ヶ月以上にわたって断酒していたのに飲んでしまった
でも酒が止まったのでまた改めて断酒する
③数ヶ月以上にわたって断酒していたのに飲んでしまった
飲酒が続いて断酒できない
いずれも断酒のあとに飲んでいますが
①飲酒中
②スリップ(再飲酒)
③リラプス(再発)
となります。
「断酒」は一定期間、意図的に飲まないことです。
一定期間がどのくらいかというと
それもまたはっきりしません。
でも短いスパンで飲酒を繰り返すのは
離脱症状に耐えられなかったり
給料日というトリガーで飲んでしまったりと
断酒が安定したとは言いがたく
短期断酒の繰り返しはまだ「飲酒中」と言えます。
「スリップ(再飲酒)」は断酒を継続している人が飲酒をすることですが
一度(または数回)飲酒しても
すぐに「また断酒しよう」と本人が気持ちを立て直せる状態です。
飲んだ量とか期間はあまり関係なく
気持ちを修正できたかどうかがポイントになります。
一方、断酒をやめて再び飲酒行動が続いてしまうのは
「スリップ(再飲酒)」ではなく「リラプス(再発)」
長期断酒していたのに飲酒のため依存症状が再発し
断酒を放棄して飲酒が持続する状態です。
断酒する気のない人と一緒にいるのは
先が見えずにとても苦しいです。
でも「スリップ」だったら?
飲んでしまったことには失望するでしょうが
本人がまた立ち上がるなら家族も気持ちを立て直せるかもしれません。
「かもしれんに、人生をかける覚悟はできちゅうか?」(朝ドラ「あんぱん」より)は
私たちの迷いをよく表している名セリフです。
私たちだって自分の人生がかかっています。
CRAFTやMI(動機づけ面接法)では
どんな接し方を推奨しているのか、それはまた次の機会に。
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