地獄の仏
アルコール依存症者と暮らす家族は
とてつもなく長い期間、苦しみ続けます。
「今思えば10年くらい前から問題があった」と
家族の方は口を揃えておっしゃいます。
どうやら家族が自助会につながる迄には
かなりの歳月がかかるようです。
その間、私たちは酒を隠し、水で薄め、
怒り、泣いて訴え、離婚をほのめかし、
およそ思い付くあらゆる方法でなんとか酒量を少なくさせようと努力します。
でもうまくいくことはまずありません。
そしてやっと「これはアルコール依存症だろう」と悟り、
家族が先に医療や自助会に繋がります。
そこから本人が断酒に踏み切るまでは
七転八倒としか言えません。
時に暴力、しばしば暴言、常に不機嫌。
子どもたちが巻き込まれるのは必至です。
周囲から諭されるのは本人ではなく家族だし
別居したくても住むところや家財道具はどうするの?
スッタモンダしてやっと本人が医療につながり
よしんば入院できても家族の安息の時間は束の間で
退院が近づくと恐怖が蘇ります。
祈るような気持ちで見守る退院後の断酒生活では
しばしばスリップしてその都度味わう絶望感。
それでもようやく断酒ができて
これで苦労も終わるのかと思いきや
断酒したらしたで不思議なことに
私たちには怒りや恨みが湧きあがり
その気持ちを持て余して苦しみます。
しかも断酒が年単位で続いても
家族の不安と心配はしぶとく続くのです。
離婚の選択も全然ありですが
離婚してスッキリするとは限らず
別れてもなお苦しむケースは少なくありません。
死別という結果が訪れたとしても
あんなに別れたかったのに
本人がこの世からいなくなると
何故か後悔ばかりで自分を責めてまた苦しむ。
「地獄を見たければアルコール依存症の家庭を見よ」と言われるくらい
とにかく、どのフェーズでも家族は苦しいのです。
だけど、どのフェーズにも仲間がいます。
地獄の仏は家族会にいます。
次回のおしゃべりサロンは
3月25日(火)
地獄の仏(?)が勢ぞろい
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